Part7「非正規労働者はいまや多数派!どうする既存の労働組合」

みなさんの職場にはパートタイムや臨時、派遣という雇われ方をしている仲間はいません?

会社の一部門、たとえば受付とか経理とかはすべて派遣労働者だったり、あるいは同じ仕事を一緒にしていて、正社員と区別がつかないような人もいるんじゃないかと思います。

お店の定員さんはみんなパートや派遣で、正社員は店長だけ。なんていう職場もいまや珍しくありません。

製造業にいたっては、一つ一つの工程(ライン)がまるごと別会社に下請にだされ、そこで働く労働者はすべて派遣労働者ということも少なくありません。

いま、僕らの仲間のjMIUという組合で派遣切りとたたかっている日産自動車やいすゞ自動車で働いていた労働者も、大手自動車会社の製造レーンの一部を請け負った会社へ派遣されて働いていました。

こうかいているだけで、「どこに雇われていたんだっけ?」とわからなくなるような状況です。

しかも彼等は、3年間働くと派遣法でいう「雇用期間の上限」になります。

上限を超えると「派遣先の企業は派遣社員に直接雇用を申し込む義務」が発生します。

これを回避するために、派遣労働者を3年経つと期間工として契約し、いわゆる「クーリング・オフ」という脱法的期間の後、あとはまた派遣に戻されるということを繰り返しやられていました。

こうして企業にとっては「いつでも首にできる雇用」を維持することになり、労働者にとってはいつまでたっても「非正規雇用」から抜け出せない状況を作られていました。

話はもどって、

正社員と非正規社員の賃金差別を問題にし、日本ではじめて「パート労働者の差別は違法」との判決を勝ち取った丸子警報機では、同じラインに正規や臨時の区別なく並び、まったく同じ作業をしていました。【→丸子警報器の判決とは?http://www.jcp.or.jp/faq_box/001/201002_part_tingin_maruko.html】

学校の職場にも「非常勤講師」という名で学期ごとに雇用される先生達がいます。

保育園の保育士さん、病院の看護士さん、、、公務の職場にもたくさんのパート、臨時労働者がいます。

ハローワークにいったことのある人いますか?

ハローワークは国の機関ですから、窓口は公務員だと普通は思います。

でも今やハローワークの窓口業務をしている人達は「非正規雇用労働者」です。

一見区別はでいないので、公務員だと思って接しているけど、あの人達も時給800円とかその辺で働かされているパート労働者なんです。

これは、以外と知らない人が多いと思います。【→http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10390227759.html】

介護の仕事をするヘルパーさんは30万人とも40万人とも言われていますが、そのほとんどが「登録ヘルパー」と呼ばれる人達で、働いた時間分の賃金が支払われる出来高払いの労働者です。

登録ヘルパーの場合、「請負」という雇用契約にさせられ、個人事業主扱いになっているケースもすくなくないようです。

(請負契約にするとどう不利益なのかは別の機会に!)

要するに、今の職場の中には当然のように「賃金や雇用形態、安定度の異なる労働者」が同居しているのが現状です。

こういう日本の現状の下で労働運動はどんな運動を展開したらいいのだろうか。

日本の労働組合は、「企業内労働組合」という特徴をもっています。

昔は「正社員が当たり前」だったから、労働組合の対象も正社員と規約等で定められていて、パートや派遣といった非正規雇用労働者ははいれないという労働組合がまだまだ多いのです。

労働組合のある職場に「たまたま」就職したら組合員になれるけれど、それ以外は組合に加入することができず、権利を知ったり行使したりすることが困難な状況で働かざるを得ないというのが日本の労働事情です。

労働組合は職場内やもっと言えば、国民的な共感と後押しがあってこそ「要求を実現させる」ことができます。

「正社員中心の労働組合の要求」を急増する非正規労働者が「共感し応援し、仲間になろう」と思えるか!ここが重要です。

「春闘で賃金の大幅引き上げ!」「賃上げでこそ景気は回復する!」というスローガン。「そうだ!」と思うけど、ちょっとまて

労働組合にはいれない非正規労働者がこれを聞いてどう思う?

職場に労働組合のない労働者が聞いたらどう思う?

↓↓↓

「正社員だけ!」「俺は関係ない」「勝手にやってろ!」「お前らの給料高すぎ!」「使えない正社員辞めさせろ!」「派遣のほうが仕事できる」etc

まさに 分裂!分断!団結不可!

これからの労働運動は、増加する非正規雇用労働者に対して「正社員があたりまえの社会を!」という長期的目標を提起するとともに、

直近の課題として「非正規雇用労働者とともに掲げることのできる要求」を掲げていかなければいけないと思います。

個人的には「最低賃金の引き上げ」→これはすべての労働者の賃金の底上げの取り組みです!http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-01.htm

     「公契約条例制定」→これも、ダンピング競争に規制をかけ、会社の利益や働く人の賃金の下限を定めるもの。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9D%A1%E4%BE%8B

労働組合のある職場で働く労働者、労働組合に入っている労働者が「すべての労働者の幸せ」をつかむための目標設定ができるかどうか

ここにこれからの労働者の運命がかかっていると思います!(本気で)