本掲載は、

全国印刷出版産業労働組合総連合会(全印総連)が出版されている、

「組合ってなんだろう?」から、一部編集して引用させていただいています。

 

  

はじめに

ストライキって何だか知ってますか?「組合員だけど一度もストライキをしたことがない」「ストライキとはどんなものか、分からない」そういう組合員が年々増えてきています。ストライキとは労働組合の団体行動権として、憲法(28条)に保障された労働者の基本的な権利の一つです。・そもそもストライキとは。・どんな時にストライキをやるべきか。・ストライキは具体的にどうやるか。・ストライキの素朴な疑問Q&A。・ストライキの大切さなどをわかりやすくまとめました。このページの内容を利用してストライキについての理解を深め、要求獲得のために生かしていきましょう。  

 

(1)そもそもストライキって何?

 このところ見かけなくなったストライキ。最近では2004年の9月にプロ野球選手会が近鉄とオリックスが合併することについて反対し、ストライキに入ってニュースになりましたが…。

 

 そもそもストライキとは、働いている人たちが自分たちの働く条件をよくするために、わざと仕事をしない、という行動のことです。

 たとえば、だるま印刷という会社があったとしましょう。この会社の社長が「社員のボーナス(一時金)を出さない」と言い出しました。だるま印刷の社員は、困ります。そこで社長に「ボーナス(一時金)を出してください」と言いに行きました。すると、社長に、「そんなにうちの会社が嫌なら、やめてもらってもいいんだよ」と言われてしまいました。会社の社員は、一人ひとりだと社長の前では弱い立場なのです。

 だるま印刷の社員は、会社の仲間に呼びかけて、みんなで一緒に社長に要求することにしました。そのために社員みんなでグループを作りました。これが「労働組合」です。

 

 労働組合は、組合員たちの労働条件をよくするために社長と交渉することができます。これを「団体交渉」と言います。でも、社長は、認めてくれません。こうなると、労働組合は、会社の指示に従って働くことを集団的にストップして、要求や労働組合の主張を認めさせようとします。これを「ストライキ」(日本語では「同盟罷業」)といいます。

 

 社員が仕事をしないと、印刷物が製造されないので社長は困ってしまいます。社長や会社の経営陣を困らせることで、労働組合の要求を認めさせようというのが本来のストライキです。

 でも、社員も、働かないので、その分の給料ひゃ払ってもらえません。自分たちが損をしても要求を認めさせよう、という行動なのです。また会社は、仕事がストップすることで、経営状態がさらに悪くなってしまうかもしれません。ストライキは、話し合いがまとまらない時の最後の手段なのです。 

 

(2)ストライキって具体的にどうするの?

①ストライキ権

 通常、労働組合がストライキをおこなう場合は、事前にストライキを行うかどうかについて組合員の意思を確認します。これを、ストライキ権(スト権)の確立投票といいます。スト権の確立投票は、要求を決める時にあらかじめ行う場合と、団体交渉と並行して行う場合、継承が決裂したときに行う場合とがあります。
 スト権の確立は、労働組合の規約に基づいて行いますが、組合員または組合員の直接無記名投票によって選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始することができません(労働組合第5条第2項第8号)。ただし投票の結果、過半数をぎりぎりでスト権が確立したような場合には、内部の意思統一を再度、強化することが必要です。

  また、単組(単産に加盟している一つ一つの組合のこと)ごとに確立するのが「単組スト権」、単産(産業別にそしきされた労働組合)などで確率するのが「連帯スト権」です。

②スト指令

 スト権が確立されると、組合はしようしゃに対して要求実現まで戦うという意思表示を行うことになります。これを通常、闘争宣言と言い、この後の闘争期間中は平時の執行機関とは別に闘争委員会という期間を設けることが多いようです。

  闘争委員会はストライキの指令とその対策、争議資金の運用など、闘争期間における争議計画(戦術)の立案、執行に関する事項を担当します。闘争委員会の構成は執行委員会の構成院と同じ場合と、新たに専門部あるいは職場を単位に選出された闘争委員を加える場合があります。闘争期間中は組合員は闘争委員会の方針に従って行動します。この闘争委員会は闘争の目的達成とともに解散し、闘争態勢を解除して、通常の組合運営に戻ります。

 

※そうぎ【争議】 労働争議の略。労働者と使用者(経営者)との間の主張が食い違うために起きる紛争。ストライキやサボタージュも争議行為ですが、特に、会社からの不当解雇や労働条件の一方的改悪などのために、労働委員会への申し立てや、裁判所への仮処分申請や提訴などを行って争うことを言います。 

③スト通告

ストライキなど争議行為を行う場合は、事前に会社側に通告します。争議行為を行う何時間(何日)前に通告するか、労使間であらかじめ決めておくことが必要です。ちなみに病院や私鉄、電機などの公益事業は10日前までに労働委員会及び構成労働大臣または都道府県に届け出ることが必要です。 

④ストライキの規模

ストライキには、組合員全員が参加する全面ストと組合が一部の組合員のみに行わせる部分スト、また、部分ストで組合がストに直接参加する組合員をここに指名する指名ストがあります。また、時間的範囲によって、解決するまで行う無期限スト、時限スト(例:9時から10時まで)などがあります。 

⑤ストライキ中は何をするの?

仕事をしないからと言って、自分勝手に家にいたり遊びに行ったりしてはいけません。組合(闘争委員会)の指令どおりに、ストライキ中の貴重な時間を利用し、職場で報告集会を開催したり、組合内部の意思統一をはかったりすることもあります。また、上部団体の統一行動(デモや宣伝活動、集会など)に参加することもあります。プロ野球選手会の選手たちもストのときは、家で休養するのではなく、組合の指令に基づいて署名活動やファンサービスなどをしていました。 

⑥ストライキの到達点

解決するまで行う無制限ストの場合、通常ストと並行して団体交渉を行います。交渉を通じて、会社から前進回答が出たり、全身がない場合でも誠意ある説明や対応など、多くの組合員が納得できそうな局面になれば、闘争委員会の判断ですと解除を指令し、ストライキを終えます。